デジタル技術を活用した業務改革(DX)~第1回 2030年問題に備えるためのDX~
文責:ジェムコ日本経営 秋山和則
2030年問題はすべての企業が真剣に向き合うべき課題です。本コラムではDXに焦点を当て「デジタル技術を活用した業務改革(DX)」について考えていきたいと思います。
2030年問題とは
2030年問題は、日本の高齢化と少子化(少子高齢化・高齢化社会)が進行する中で、2030年に顕在化すると予測される社会問題の総称です。この問題は、労働人口の減少や人材不足、経済成長の鈍化など、企業や社会全体に深刻な影響を及ぼすと考えられています。
少子高齢化・高齢化社会が進行、労働力不足が深刻化
2030年には、少子高齢化・高齢化社会がさらに進み、日本の総人口の約1/3が65歳以上の高齢者になると予測されています。この高齢化に伴い、生産年齢人口(15歳以上65歳未満)が減少し、労働力不足が深刻化します。内閣府によると、2030年には644万人もの人材不足が発生する見込みです。
2030年問題の企業への影響
2030年問題は企業に以下のような影響を与えるとされています。
□人材不足
生産年齢人口の減少により、多くの企業が深刻な人材不足に直面します。特に建設業界や医療・介護業界では、この影響が顕著になると予想されています。
□人材獲得競争の激化
人手不足が進む中で、企業間での人材獲得競争が激しくなり、採用担当者の負担が増加します。
□人件費の高騰
人材確保のために企業はより良い条件を提示せざるを得なくなり、人件費が上昇します。これにより利益が圧迫される可能性があります。
□業績悪化
人材不足によってサービス品質が低下し、顧客満足度が下がることで業績悪化につながるリスクがあります。
企業が取るべき具体的な4つの対策
企業は2030年問題に備えて以下のような対策を講じる必要があります。ここでは4つの対策をご紹介します。
□働き方改革
テレワークやフレックスタイム制を導入し、多様な働き方を提供することで労働環境を改善し、人材確保につなげます。
□リスキリング
従業員に新しいスキルを身につけさせることで、柔軟な配置転換を可能にし、人材不足を補います。
□シニア人材の活用
シニア世代の労働意欲を活かし、豊富な経験や知識を業務に活用します。
□デジタル化とDX推進
業務効率化を考え、業務改革(DX)を行うことも重要です。業務プロセス・業務フローをデジタル化し、自動化することで効率化を図り、人手不足による影響を軽減します。DX人材の育成も必要です。