生産の基本論~ものづくりの達人になるためにおさえるべきツボ~【第30回 工程の連続化】
文責:ジェムコ日本経営 コンサルタント 原 正俊
皆さんは、「IE」という言葉をご存じでしょうか?IEは、Industrial Engineering の略称で「生産工学」などと呼ばれ、「生産性向上」と「原価低減」を行うものです。「IE」の考え方に関する情報をコラムでお届けしてまいります。
30回目の今回は、「工程の連続化」についてです。
設備がきれいにならんでいる工場の効率は?
設備がきれいにならんでいる工場があります。まるで学校の教室の机のように、規則正しく整列しています。このスタイルは海外の工場でよく見かけます。
見た目はいいのですが、効率と言う点で考えると疑問が生じます。
問が生じる理由はそれぞれ独立した作業になるから
効率と言う点で疑問が生じるのは、設備と設備が一定間隔で並んでいてその間のつながりがないと、それぞれ独立した作業になってしまうからです。
1つの作業場所で加工されたものが、カゴや容器に入れられて次の工程に運搬されます。隣の設備が次の工程であっても、いったん容器に入れるので、その出し入れに時間がかかっています。それがムダであると気が付いていないことが多いのです。
連続する作業・設備が並ぶ工程は繋げる
連続する作業・設備がならんでいるような工程は、繋げてしまうことが効率化につながります。「設備の間のストックをなくしてしまう」という考え方です。
当然、設備が離れているとつなげてストックをなくすことは難しいです。ですから、設備を接近させることを考えなくてはなりません。
「レイアウトのきれいさ」と「効率化」のどちらを優先させる?
設備が接近すると綺麗な配置は崩れます。しかしスペースは減少します。「レイアウトのきれいさ」と「効率化」のどちらを優先させるべきかというと、やはり「効率化」でしょう。設備を接近させて工程の連続化を図ることができれば、1個流しが可能になってきます。これは仕掛かり量の削減のうえでも有効です。もちろんリードタイムの短縮になります。
綺麗に設備を並べることよりも、綺麗にモノを流すことに重点をおいてレイアウトを検討してください。