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JEMCO通信

2016-01-08 働き方改革 人材育成の大切なこと

人と組織の活性化│働き方改革の本質(2)

文責:ジェムコ日本経営 取締役 小倉明男  

 

前回、「働き方改革」の本質の一回目として「主体的に働く」ということについて取り上ました。今回は、二回目として「未来を考え、夢をもつ」ということを考えてみます。  

 

◆夢がない、いまの日本の職場 

 かつて、高度成長時代のサラリーマンは、一生懸命働いて給料を上げ、テレビを買い、洗濯機やクーラーを買い、余裕ができたら車もほしい、最後は家が欲しいと、現実的ながらも夢をもって仕事に取り組んできました。そのためには、多少の理不尽なことは我慢していました。これも、そうした夢があったから、同じ夢を持つ仲間がいたから我慢できたのです。

 

 いまの20代、30代のサラリーマンに聞くと「特に欲しいものはない」「夢なんて考えたこともないですよ」と返事が返ってきます。以前日経新聞の新入社員に対するアンケートでは「できたら働きたくない」と答えた人が29%、働く目的で最も多かったのが「安定した収入のため」で69%という結果だったそうです。仕事を生活の為と割り切る傾向が鮮明になっているとのことです。

 

 一方、会社のマネジメントも多くは数字だけの目標管理制度で、「あなたはこの数字を達成しなさい」と、プロセスはさておき結果だけの管理をしていることが多いようです。これではマネジメントではなく、放置になってしまっていないでしょうか。

 

 いままでの管理型経営は従業員に、「あなたを信用していませんよ」というメッセージを絶えず発し続けているようなものです。そして「夢など持たずに間違いなく仕事をしろ」と言っていように思えます。だから言われたことはやるがチャレンジしない社員“ことなかれ社員”が増えているのではないでしょか。

  

◆思えば叶う 

 世の中には奇跡と言われることが沢山あります。昨年の南アフリカを倒した日本ラグビーがその典型です。それを実現した人はみな、長らく夢として持ち、あきらめることなくできると信じてきた人たちです。思っていれば何らかのチャンスは必ず来る。実現へ向けてのアイディアが湧く。誰かがヒントをくれます。常に思っているからそれにつながるのであり、思っていなければ人もアイディアもすべて素通りしてしまいます。

 

 「それは無理」「やっても無駄」は、すべての可能性を潰してしまう最悪の言葉です。人間の持つ、神様から授けられた個性と能力を発揮するためにはまずは「できる」と思うことです。

 

 ◆失敗は成功のもと 

 エジソンの「私は失敗したことがない。ただ、1万通りの、うまく行かない方法を見つけただけだ」という言葉が物語るように、いまの人たちは、上手くいかない方法をあまりにもやっていないのではないでしょうか。情報が氾濫する現代は、事前に情報を得て失敗しない方法、失敗しない基準をつくり出しているので、なぜ上手くいっているかさえも分からなくなっています。

 

 我々がつくってきた社会は、失敗しない仕組みで成り立っているともいえます。それは、先輩たちが苦しみ、思考錯誤を繰り返して沢山失敗して仕組みができたからです。つまり仕組みはできたが、物事の基準やルールをつくるための失敗を経験させていない人たちをつくってしまっているのです。ボタンを押せば製品ができる。夢も持たず、間違いのない仕事をする。つまり、“ことなかれ社員”をつくってしまったのは、失敗を恐れる私たちなのです。

  

◆夢は未来にある 

 未来を考えるのは「自分のやりたいことを見つけ」、その時代が来た時に“できるようになっている”ことです。だからワクワクするし、ない時間を創って努力が続くのです。最近、参加している田中栄氏が主宰する「未来予測」コミュニティーで、未来を語り、未来をつくる人たちと行動していますが、そこでは誰も“無理”とは思っていません。まだ実現しないけど、必ずできると思っています。良い思いで行動すれば良いことがどんどん起こり、必要な人との出会いがあり、夢の実現性が見えてきます。このコミュニティーでも、夢を持つ人の周りに人が集まり、必要な人が現れ、アイディアが湧き一歩ずつ夢が実現していくプロセスを見ます。まさに奇跡が起こるのです。

  

◆夢を語ることから始めませんか 

 いま会社にとって必要なことは、社員一人一人の個性と可能性を認め、夢を語る風土文化をつくることではないでしょうか。マズローの6段階の生理的欲求、安全の欲求、社会的欲求はすでに満たされており、これからは認定欲求、自己実現欲求、自己超越欲求が強い時代になっているのです。 

 自分のいる会社を通じて自分の個性と可能性を発揮するために未来に向けてどんな努力をするのか、その未来が来た時の成長した自分の姿がどんな姿なのかワクワクしながらイメージする。そして、その実現のために会社や仲間がバックアップする。夢を語る人たちは元気で明るくコミュニケーションが活発になります。そうした風土文化づくりが必要なのではないでしょうか。
 

“自分の人生の可能性を最大に発揮するための働き方改革”を、いまから始めてみませんか。 

次回は「関係性の向上:思い込みの罠」について取り上げます。 

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