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導入事例

【TOP INTERVIEW~話題の経営者に聞く~】

世界を知るからこそわかる日本企業の強み・弱み
伝えていきたいのは“モノづくりの力” <前編>

エイブリック株式会社 代表取締役社長兼CEO 石合信正氏

Contents 01

インタビュー概要

時計作りで培った技術を活かし、高品質な「アナログ半導体」を製造している、エイブリック株式会社。代表取締役社長兼CEO・石合信正氏は、30年以上グローバル企業に勤務、うち20年以上はCEOなどを歴任し、ワールドワイドに活躍してこられました。そんな石合氏だからこそ感じる、日本企業と海外企業との違いとは?

エイブリック株式会社 代表取締役社長兼CEO 石合信正氏

<略歴>
1978年3月:慶應義塾大学商学部卒業
1978年4月~:住友重機械工業株式会社
       プラントエンジニアリング事業部
1986年9月~:バイエル社
       マーケティング&セールスジェネラルマネージャー
1993年1月~:GEゼネラル・エレクトリック社
       GEポリマーランドジャパン代表取締役社長などを歴任
2002年10月~:インベンシスクライメートコントロール社
       アジアパシフィック担当上席副社長などを歴任
2005年6月~:アリスタライフサイエンス株式会社
       日本・アジアライフサイエンス事業統括CEOなどを歴任
2011年3月~:キャボット社
       キャボットジャパン社代表取締役社長に就任などを歴任
2016年1月~:エスアイアイ・セミコンダクタ株式会社 代表取締役社長
       2018年エイブリック株式会社に社名変更、代表取締役社長兼CEOとなる

Contents 02

30年以上グローバル企業に勤務、
うち20年以上はCEOなどを歴任してきました

Q:これまでの経歴を教えてください


社会人になってもう40年以上。そのうち30年以上が外資系グローバル企業での勤務、近年20年以上は5社の社長やCEOを歴任してきました(略歴参照)。


その中で培われてきたこととして、主に3つあると思っています。


1つ目は「パフォーマンス」。数字責任に対して結果を出すということ。2つ目は「チェンジエージェント」。改革を推し進めていく力ですね。3つ目は「マルチ」であるということ。マルチタスク、マルチカントリー、マルチインダストリー…。様々な国で様々な国籍の人と働き、様々なカルチャーとチャレンジを経験してきたことは、私の強みになっていると思います。

Contents 03

自分のキャリアは自分で。そして常に結果を出して
レベルアップする必要がある

Q:グローバル企業での勤務の中で、日本企業との違いを感じられたところは?


個人ベース、企業ベース、それぞれで感じたことが多々ありました。

<個人ベース>

あくまでも、個人がベースの考え方ですし、自分のキャリアを自己責任で作っていかないと誰も助けてはくれません。また、常に結果を出し、レベルアップをしていかないといけないということ。そしてやはり、英語は必須。それもただ英語ができる、というのではなく多国籍な中で、論理的な分析、正確な報告など、より難易度が求められました。優先順位を明確に決める、フォーカス力も重要ですね。そして、そのようなことから生まれた、一人ひとりの仕事の成果は大きく、そして専門性が高いと感じました。

<企業ベース>

会社の環境変化が非常に激しいということをまず感じました。買収する・される、部門が変わる、CEOが変わる…それらの出来事で組織が大きく変わることを多く経験してきました。そして、マネジメントのリーダーシップが強く、「是々非々主義」なのも特徴ですね。忖度がなく、上下関係の中でもお互いリスペクトする中で意見が言える風土があると思います。また、タスクフォース型のプロジェクトやマトリックス組織が多い。これはまだ日本ではあまり行われていないように感じます。

Contents 04

伝説の経営者からの「Are you crazy enough?」

Q:特に印象に残っているエピソードなどはありますか?


これまで、様々なリーダーのもとで学ばせていただく機会がありました。彼らから学んだことは、「情熱をもって行動する」「リーダーシップの育成」「自分たれ」「人生を大切に」「ぶれない」ということです。

例えば、ゼネラル・エレクトリックでは、その経営手腕から“伝説の経営者”と呼ばれた、ジャック・ウェルチ氏から指導を受ける機会が多くありました。彼から学んだことの一つは、「情熱をもって行動する」ということです。一番心に残っている言葉は、「Are you crazy enough?(あなたは十分に情熱を持っているか?)」。私が経営手法について質問した時の言葉なのですが、「私の役目は情熱をもって伝えて、成功をさせることだ。物事を変えるのは簡単ではない。あなたは十分に熱中しているか?朝、鏡に向かって3回聞いてみるといい」と教えられました。今でも自分の芯に入っている大切な言葉です。

キャボットのグローバルCEOのパトリック・プレヴォスト氏からは、「ぶれない」ということを学びました。SHE(安全・衛生・環境)という世界ではキャボットはNO.1と言えます。これには、パトリック氏の過去のつらい教訓が影響しており、「SAFETY IS TOP PRIORITY(安全は最優先事項である)」という考えを強く持っていました。そして彼は、それをしっかりと実行した。トップの想いというのは、こんなにも会社を変えることができると思ったことの一つです。

Contents 05

問題点のすべてが「改善の伸びしろ」。
改善の余地は大きいです

Q:久しぶりの日本企業。現在感じられている日本企業の問題点や弱さは?


グローバル企業に30年以上勤めたのですが、その中で、アジアパシフィックのヘッドクォーターが日本から中国やシンガポールへ移っていくということを多く経験し、日本の力の低下を何となく感じていました。そんな中で、「何とか日本の役に立ちたい」という思いが強くなってきて、今に至ります。

日本企業全体に関して、弱さを感じる部分はあります。でも、それらすべてが“改善の伸びしろ”。改善したときの成果は大変大きいと思っています。

「企業ベース」「個人ベース」「マネジメントベース」「パフォーマンスベース」で感じるところがそれぞれありますが、ここでは企業ベースでのお話をしたいと思います。


私が感じたポイントは、下記の点です。
①スピードが遅い
②官僚的
③変化を嫌い、合理化のための問題を先送りする
④多様性がない
⑤実行力が弱い
⑥コンプライアンス・SHE(安全・衛生・環境)・CSRが脆弱
⑦よいところから盗もうとしない
⑧なんでも社内でやろうとして外部のサービスを上手に利用しない
⑨見える化、見せる化が弱い
⑩企業内組合のあいまいな存在
⑪組織が複雑で階層が多い
⑫固定化した人事制度で外から優秀な人材をとりいれにくい。また人材の有効活用ができていない
⑬フラット、オープンさがない
⑭IT化が遅れている

いくつかのポイントを上げさせてもらいましたが、これは決して批判をしているわけではありません。やり方を変えたらすぐに改善されるポイントですから、日本企業にはまだまだ伸びしろがあると考えています。

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