従業員が仕事にやりがいを持ち、生き生きと働くために
業務の集中・技術継承・人材育成…
みんなが“一歩前進”する働き方改革
クラレ鹿島事業所様
業務の集中・技術継承・人材育成…
みんなが“一歩前進”する働き方改革
クラレ鹿島事業所様
Contents 01
約3年前から「働き方改革」を進めていたというクラレ鹿島事業所。当初は時間外勤務などに焦点が当たり、社内からも「それを改善することが働き方改革なのか?」という声が上がったのだとか。
「働き方改革とは何なのか?と考えたとき、従業員が仕事にやりがいを持ち、生き生きと働くことが重要ではないかと考えました。しかし、そのためにどうすべきか悩んでいた」と事業所長の有元秀樹氏。そんな中、ジェムコ日本経営(以下、ジェムコ)との出会いで、仕事を楽しみながらみんなが“一歩前進”する働き方改革がスタートすることになりました。
クラレ鹿島事業所_事業所長の有元秀樹氏(写真左)と設備技術部・部長の藤原真一氏
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「実は、ジェムコから話を聞くまでは、コンサルティングをお願いすることに対して前向きだったわけではありません。『課題解決のためにこんなメニューがあるのでこれをしましょう』『これらを全部やってください』と、一方的に課題を出されるイメージがあったからです」と言うのは設備技術部・部長の藤原真一氏。また、有元氏も「私も参加メンバーに負担をかけることになるのではと危惧していました。しかし、コンサルタントの大西さんは『私は答えを言うわけではありません。今回の働き方改革プロジェクトの参加者がどうなりたいのか、どう課題を解決していこうとしているのかを聞きながら、それに合わせてアドバイスをしていくだけ。私は働き方改革のプロ。こういう時にどうすべきかの知見が豊富にある。それを提示し、一緒に働き方を変える取り組みを行っていくだけです』と言われました。それなら負担をかけずにすむと感じ、取り組んでみることにしました」。
今回のプロジェクトには、今後事業所で中心的な役割を果たしてくれるであろう、副長(課長代理)の参加が検討されていました。そもそも副長は、業務が集中しがちになっていたそうで、「業務時間を減らすことも課題でした。その解決のためにも参加してほしいが、負担はかけたくない。ですから『月1回1時間、それが半年。毎回課題が出るわけでもないので、とにかくやってみませんか』と、参加を呼びかけました」(藤原氏)
その結果、鹿島事業所の7部門から10数名が参加し、プロジェクトはスタート。下記のような流れで進んでいきました。
1:各部門長、プロジェクト参加者全員から問題点や今後の目標等のヒアリング
2:それぞれの意見をまとめ“見える化”
3:2から見えた課題から今回のプロジェクトのテーマ設定
4:テーマをもとにプロジェクト参加者個々の面談(1回1時間、半年間)
個別の目標を設定しその解決のためのコンサルティングを行う
「参加者の中には働き方改革について、自分で考えるのではなく答えが欲しいという人もいました。しかし、自分たちで考えて動くことが重要だと考えていたので、今回の取り組みを行うことにしました」と有元氏は言います。
事業所長の有元秀樹氏
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コンサルティングは、参加メンバーとその上司である部長に現状の問題点や課題をヒアリングすることから始まりました。それぞれの面談の結果は、個人ごとにシートにまとめられ“見える化”。そこで浮かび上がってきたことは、「課題はわかっているが、それをどう解決したらいいかわからない。わからないから動かない。そんな状況でした」と今回のプロジェクトを担当したコンサルタントの大西は言います。
人材育成の意味でも、業務を抱え込まず上手く部下に仕事を任せていくことも重要。しかし、業務に追われ教育の時間がとれず、自分ばかりが忙しくなっていく…。「業務の集中」「技術継承」「人材育成」「コミュニケーション」。これらが働き方改革を行う上で、多くの人が抱える課題でした。
「これらの課題、そして“あるべき姿”についての考えはみんな持っている。その状況になることが最良であることは間違いありませんが、まず一歩前進をすることが大切だと感じました。それができれば、2歩3歩と踏み出していけるはず。 “仕事を楽しんで成長しよう”、そういう思いを込めて、今回のプロジェクトの全体テーマを『わくわくワーク 一歩前進』としました」(有元氏)。
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全体のテーマ「わくわくワーク 一歩前進」に、各部門長が「部員にこうなってほしい」という思いを追加。それをもとに、個別のコンサルティングの中で個々の課題をさらに明確にし、個人ごとに取り組むテーマが決定されました。「部門ごとに課題が違うので、技術継承や人材育成など、それぞれに合った活動を行ってもらいました」と有元さん。技術継承については、鹿島事業所がある鹿島コンビナートが完成から45年経過したことで、第一世代の人が退職をされてきていることもあり、事業所全体として、喫緊の課題にもなっていたようです。
個人ごとに取り組むテーマをもとに、それぞれが働き方改革を実現させるためのコンサルティングが行われて行きました。あわせて、参加メンバーの上司との面談も実施、活動の進捗状況の確認などが行われました。
「参加メンバーは、月一回の面談以外もコンサルタントの大西さんにメールなどでサポートをいただきました。上司を通すといいにくいこともあると思うので、直接コミュニケーションをとっていただきありがたかったです。思いを聞き、やる気をうまく引き出してもらいました。また、テーマも取り組み方も個々によって異なるので、進度の個人差は大きくなりがちでした。そこはうまく大西さんが調整してくれていました」と藤原氏は言います。
プロジェクトの途中からは、藤原さんの目にも参加メンバーの変化が感じられるように。「中には、『自ら考え行動ができている。私のアドバイスは必要ない』と大西さんのお墨付きをいただき、早々にプロジェクトから卒業したメンバーもいました」(藤原氏)。
設備技術部・部長の藤原真一氏
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また、参加者以外にも変化が。「プロジェクトのことは事業所内で周知していたので、身近で頑張っているプロジェクト参加者がいれば励みにもなる。その人に仕事の依頼をされたら、『協力しよう』という雰囲気が生まれてきました」(有元氏)。難易度が高くてもやりがいのある仕事を任されることで、部下たちも責任感を持つことにつながり好循環が生まれたようです。
半年の面談が終了後、今後の業務の“あるべき姿”を設定した報告会を開催しました。「プロジェクトは、大変良い結果になったと思っています。みんな “一歩前進”することができました。今回のことは一種の成功体験のようなもの。今回は個々に一つの課題に取り組みましたが、解決のために大西さんから様々な手法をアドバイスいただいているので、今後に応用が利くと思っています」と有元氏も手ごたえを感じます。
現在は、「一年後、私たちはこうなっていきます」という目標を掲げて、さらに“一歩前進”していく取り組みを行っています。「この自ら進んで仕事をする流れを絶やさず、部下たちにも仕事の伝承だけではなく今回学んだ“マインドの継承”もしてもらえたらと思っています」(有元氏)
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今回のプロジェクトを通じて、どのような変化があったのか。設備技術部・部長の藤原真一氏と参加メンバーの声を紹介します。
【設備技術部・部長の藤原真一氏から】
設備技術部は、若手や異動者なども多い中で、仕上げまで携わる仕事であるために、責任感を持ち、どれだけ負担が多くても業務を続けている副長が多くいました。そしてほとんどの業務に携さわり、部下たちに仕事を任せることをしない・できないという状況でした。
コンサルタントの大西さんには、“気持ち”の部分での働き方改革を大いに推進していただいたと感じています。働き方改革というと、生産性向上などを中心に考えがちですが、やる気にさせてたり、背中を押してあげる。そこも大切であり、今回はそこの部分が大きかったのではないかと思います。下記の2名を含め、参加者みんなに“一歩前進”があったと思います。
<Aさんの場合>
常に業務改善策などを考え、実行したいと思っている前向きな人でした。一方、考えすぎで動き出せない一面も。コンサルの中で改善策などを評価してもらったことで、自信を持ち、率先していろんな物事を進めてくれるようになりました。元々豊富にアイディアを持っていた人ですから、ちょっと背中を押してあげるだけで、自ら考え改善に向けて動くように。やりたかったことが遠慮なくできるようになったのだと思います。
<Bさんの場合>
業務量が大変多く、少し不満があるような雰囲気でした。コンサルを受けるようになり、前向きに物事に取り組むようになりました。大西さんに励まされ、自信を持ったのだと思います。仕事に対する姿勢が大きく変化し、いい影響が出ていると思います。
【参加メンバーから】
<Cさん>
時間外労働の多い交替係長の時間削減のために、定修期間の働き方の意識付けと補勤のできる人材の育成を行いました。定修期間については、2018年比で25%の時間外労働削減を達成。人材育成についても順調に進んでいます。また、働き方の見直しということで、会議・資料作成の削減を提案。結果、会議の開催回数の削減を達成できたことは、“一歩前進”したと感じているところです。数年~10年後の私の後任の仕事量の事も考え、引き続き所轄範囲の見直しを検討できればと思っています。
<Dさん>
業務の効率化については、以前からの課題でした、今回のプロジェクトは効率化を前進させるきっかけになりました。品質異常発生時の対応をはじめ、生産計画の変更、棚卸業務の効率化などさまざまなことを行っています。このような取り組みによって、中長期にわたって効果を発現するためには、仕組み・システムの改善を行う必要があると感じています。そのためにも、会社の協力を得ながら、足元の業務の効率化にとどまらないような取り組みを進めたいと思います。
<Eさん>
「電装設計全員が(新人・転入者でも5年で)全設計業務をこなせる部署」を目標に、管理、教育体制を変更し、手順書、標準書などの設計書類を整理して環境を整え、新人などにもあえて経験の無い業務を任せて経験させる取り組みを行いました。重要な業務を任せ始めましたが、結果、無事に工期通り完工し現在順調に運転しています。途中何度も手を出しそうになりましたが、聞かれたことに対するアドバイスと指導だけで済ませました。今では自分だけで全ての工事を実施するよりは、部下にある程度任せた方が早いと考えるようになり、“一歩前進”していると感じます。また、今後も出来ない業務、経験が無い業務を任せて経験値を高め、結果として今後5年間で全設計業務がこなせるような部員を増やしていき、結果として部署全体をレベルアップしていきたいです。
このほかにも、「部下へ任す範囲を拡大することで組織のやる気や、各自の課題解決力が若干上昇しつつあると感じる」「コンサルを受けている時は、どう対策を講じるのがよいか考えることが多かったが、大西さんの意見や私に対する同意のお言葉を受け、このまま継続していく前向きな気持ちにさせてもらいました」「課題の設定の仕方が重要であることを改めて認識した。社内・部内の限られた視点だけでなく、第三者の視点が入ることで新しい知見やアイディアが得られることを改めて実感した」などの声もありました。