働き方改革の本質(4) 思考の変化
文責:ジェムコ日本経営 取締役 小倉明男
〇心を鍛えるとは「思考を変えること」
「ロープウェイで山に登った人は、登山家と同じ太陽を見ることはできない」
フランスの哲学者、アランの有名な言葉です。
これは、心の状態によって、同じ物を見てもまったく違うものに見える、という例えです。確かに、仕事においても、たとえ同じ結果でもそのプロセスによって感動が違う事はよく経験することです。
「心から感動する」「心から感謝する」「心が折れる」などの言葉から想像しても、そのプロセスや考え方が、その後の結果の受け止め方に大きく関わっている事が分かります。
それでは、「心」ってどこにあるの?「心の状態」ってどうしたら変わるの?。
掴みどころのないものですが、最近の事例も交えて心の実態について書きたいと思います。
〇「心」は鍛えられないが、「考え方」を変えることで「心は整い強くなる」
「心」を検索すると、「体に対し(しかも体の中に宿るものとしての)知識・感情・意志などの精神的な働きのもとになると見られているもの。また、その働き。」とあります。よく分かりませんね。
とてもつ掴み難いものですが、最近働き方改革のコンサルティングや研修で「心を整える」をテーマにしたコンサルタントの支援が好評です。
彼によれば、「心」と「脳」は別なものだが、「考え方」は「心」に大きな影響を及ぼしている。「心」は鍛えられないが、「考え方」を変えることで「心は整い強くなる」と言っているのです。
彼の講演会を実施したある企業のアンケートによると、「今日の内容を自部署で実施したいですか?」の設問に「はい」と答えた人は54人中51人、「いいえ」と答えた3人も「まずは自分でやってから」というもので100%の人が「実施したい」と答えていました。
その内容は、
●何をするかだけでなく、“どんな心の状態でやるか”に焦点をあてる。
●新しくやることを阻害している“メンタルブロックとその習慣”に気づく。
大きくはこの2つです。
現場の人たちも、がんじがらめの失敗しないルールやパワハラ、セクハラと、成長を阻害するものが沢山あり、チャレンジできない状態になっており、日々悩んでいるのです。だからこそ、このアンケートの結果でも、成長できていない自分が少しでも成長し、チャレンジできる糸口を探しているという事が分かります。
〇自分の生き方に100%影響のある研修でした
働き方改革の一環で、「心を整える」研修を実施した会社の受講生のなまの声では、
「非常にためになった。心を整えることを意識できるようになり、自分を変えるためにどう動けばいいかのヒントが得られた」
「内容が新鮮で興味深かった。これが習慣化できれば成長につながると思う」
「感情を認知し、負の感情を持つ自分を認めた上で、心をきちんと整えて、そのとき自分にできる最高の行動をおこせるようにします」
「自分で自分の引き出しを開けられない人の引き出しを開けてあげたいと思った」
「自分の生き方に100%影響のある研修でした」
というようにとても受講生に好評で、自分の成長や変化を実感してもらっています。
その会社のトップも、”これだけ社員が変わった研修は初めて。今後も対象者を替えて実施していきたい。”
と次の研修をご依頼いただきました。
彼の研修内容のベースは、スポーツ心理学です。
タイガーウッズの10秒ルール(10秒間は感情のままに行動するが、その後は引きずらない)や宮里藍の54ビジョン(思考の場面を仕切りをつくって考える)のように、自分の持てる力を100%出せるように、心の状態を上手くマネジメントする考え方です。上手くいかなかった時、怒りの感情や不安な感情を抑えるのではなく、ある考え方を持つことで上手く切り替えることができるいうことです。
〇可能性を引き出してあげれば自ずから火が燃え盛ります
今どの会社でも働き方改革に取り組んでいますが、どうも上手く行ってないのが現状のようです。組織開発でいうところのハード(戦略、構造、制度、業務)にばかり焦点があたり、ソフト(人間関係、人そのもの:個性、能力、夢など)の部分が疎かになっているようです。
ある研究では、初めの段階から、マインドセット(心の持ち方)の変化に取り組むことで、組織改革の成功確率が4倍に上がる、という報告もあります。最近の心のテーマで支援させていただいた組織の変化を見ると、いま日本の企業が一番取り組むべきテーマだと思います。
現状を焚き火にたとえると、薪(ハード)ばかりを次から次へと積むので火(ソフト)がくすぶってしまっているのです。下手をすると水をかけているケースもあります。まずは火(ソフト)を燃え盛らせれば、薪は自らと燃え上がります。
一人ひとりに感情があり、個性があります。そこをしっかりと見て可能性を引き出してあげれば、自ら火が燃え盛ります。
今こそ、一人ひとりの人に焦点を当てた活動が必要です。
ちなみに、「心を整える」講演会は無料でお受けしています。
次回は、「行動」についてです。