サプライチェーン・マネジメント(SCM)について<第1回・モノの流れ(日本で商品を製造、海外へ出荷する場合)>
文責:ジェムコ日本経営
サプライチェーンを物流と同一視しがちですが、物流は実際にはサプライチェーンの構成要素の一つにすぎません。
サプライチェーンは「モノの流れ」と「情報の流れ」から見ることができます。今回のコラムでは、3回にわたり「見込生産の場合で、日本で商品を製造して、海外に出荷・販売するときの流れ」についてみていきます。
まず、第1回目の今回は「モノの流れ<日本で商品を製造、海外へ出荷する場合>」について解説します。
サプライチェーン・マネジメント(SCM)とは?
直訳すると「供給連鎖の管理」。サプライチェーン(製品の原材料・部品の調達から、製造、在庫管理、配送、販売までの全体の一連の流れ)を総合的に見直して、生産や販売の最適化・効率化を図る経営手法です。
モノの流れ<日本で商品を製造、海外へ出荷する場合>
一般的に工場で生産したものは、倉庫へ運ばれ、洋上を経て、海外のお客様のもとに届くことになります。日本国内に複数の工場があった場合は、さらにその流れは複雑になり、様々な「モノの流れ=物流」が発生することになります。
□調達物流
生産に必要な原材料や部品などを、サプライヤーから調達するためのモノの流れのこと
□生産物流
工場内・工場間などで発生するモノの流れのこと(場所に関わらず、生産工程内の物流)
□販売物流
注文を受け、倉庫などに保管していた商品を販売会社などに配送、顧客のもと届けるまでのモノの流れのこと
2つの問題「在庫」と「欠品」
そして、これらの流れの中で、大きく「2つの問題」が生じる可能性が考えられます。それは、「在庫」と「欠品」です。
□在庫
品物が倉庫などにある状態
□欠品
品物などが必要な時に必要なものがない状態
在庫は、「倉庫の中にある」ということを言いましたが、それだけではありません。例えば日本の倉庫から海外に運ぶとき、アメリカの場合で1.8か月、イギリスでは2か月程度かかるといわれています(2023年7月現在)。これは、コロナで定期便が減ってしまったことが影響しています。
このように「洋上に品物がある」という期間も在庫と考えられます。
第2回では、「情報の流れ<見込生産の場合>」についてみていきます。