サプライチェーン・マネジメント(SCM)について<第3回・SCMの考え方>
文責:ジェムコ日本経営
サプライチェーン・マネジメント(SCM)とは、直訳すると「供給連鎖の管理」。サプライチェーン(製品の原材料・部品の調達から、製造、在庫管理、配送、販売までの全体の一連の流れ)を総合的に見直して、生産や販売の最適化・効率化を図る経営手法です。
サプライチェーンを物流と同一視しがちですが、物流は実際にはサプライチェーンの構成要素の一つにすぎません。
サプライチェーンは「モノの流れ」と「情報の流れ」から見ることができます。今回のコラムでは、3回にわたり「見込生産の場合で、日本で商品を製造して、海外に出荷・販売するときの流れ」についてみていきます。
最終回となる3回目の今回は「SCMの考え方」について解説します。
「SCM」とは?管理するうえで出てくる課題とは?
このコラムの1回目、2回目で紹介したすべて含めてSCMといわれるものになります。
SCMの管理の仕方としては、「中央集権」「分権」という考え方があると思います。
例えば、2回目で出てきた話を「分権」的な考え方で見てみると、販売会社に力を持たせてやるという方法になります。これは会社の成長期はいいけれど、成長が停滞したり、会社自体が大きくなってきたりすると、コントロールできなくなってきては困るということも起こりかねません。
政策をどうするか?というところになってくると、例えば、販売会社のトップは日本から赴任しているケースもあるけれど、現地の人の可能性もあるわけで、そうすると日本の本社のいうことを聞かない、というケースも出てきます。
それから、新たに契約する代理店などでは「PSIの実態をみえるようにすること」を条件に契約を結ぶ、ということもあります。また、それだけではなく、「PSIを見える化するためのシステムを構築する」という課題も出てきます。このように、システムを構築して、見える化し、見えた結果をどのように生かすか検討することを「PSIの仕組み」といいます。
SCMの問題を処理するためには?
様々なことを行うわけですが、それらはすべて、最終的には「在庫を減らす」「欠品を減らす」というのがねらいになってきます。
それを実現させるため「どういう業務ルールを作らないといけないか」「どういう販売政策が必要か」「組織をどうするか」「誰がするのか」という課題が出てきます。
一番最初に、「サプライチェーンを物流と同一視しがち」という話をしましたが、基本的に物流が扱っている範囲というのは、一回目に出てきたようなモノの流れの部分。例えば車で言うと、販売物流は「タイヤと足回り」。どの方向にどれくらいのスピードでどんなタイミングで、どれくらいのモノを運ぶかというのは、物流にとっての前提条件になります。例えば、エンジンは工場、それ以外にも、アクセル、ブレーキ、コントロールユニットとなる部署があるわけで、それらがあって、初めてタイヤと足回りは機能する、ということを考えると、物流の裁量範囲は一部になるわけです。
ですから、SCMは、需要予測を行う営業部門、生産計画を行う生産管理部門、調達計画を行う調達部門、出荷計画を行う物流部門、それぞれがかかわり、すべてのことがわかっていないと、SCMの問題は処理することができないのです。