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JEMCO通信

2025-01-21 暗黙知を形式知に ナレッジマネジメント

技術・技能の可視化(暗黙知の形式知化を含む)は、「多能工化」への近道

文責:ジェムコ日本経営

これまでのコラムで、技術伝承・技能伝承(ナレッジマネジメント)に関する問題と対応の必要性や課題、上手くいかない理由などについて考えてきました。
ベテランが持つ暗黙知を形式知化して進める技術伝承・技能伝承は、企業の持続的な成長と人材育成などにおいて重要ですが、その取り組みは「多能工化」にも大きく寄与します。特に、そのスキルを取得するスピード面で役立ちます。
技術・技能伝承と多能工化を上手く連携させることで、組織全体のスキルレベルの向上・スピードアップ、業務改革や生産性向上、人材の高度化など、さまざまなメリットが期待できます。
ここでは多能工化とは何か、また多能工化を進める上でのポイントをご紹介します。

多能工化とは

多能工化とは、ひとりの人が特定の仕事だけを身に付けるのではなく、複数の仕事をできるようにすること。つまり、特定の業務に特化するのではなく、幅広いスキルを身につけて、様々な仕事に対応できるようにすることを目指します。作業効率の向上、つまり業務の効率化にもつながります。ただし、 技術・技能を身に付けることや技量のレベルアップには、一定の期間が必要となります。

多能工化と省人化の違いについて

多能工化とともに、企業が生産性向上や効率化を図る上でよく取り上げられる言葉として「省人化」があります。似ているようではありますが意味が異なります。

省人化とは

省人化とは、業務の改善等により、人を1人単位で省くこと。また1人単位の作業を削減しても、その人が遊んでいるようでは業務改善、生産性向上したことになりません。削減した人を別のところで上手く活用することまでを含んでいます。

多能工化を進めるポイント

多能工化は、上記でもお話した通り、企業がより効率的に運営されるための有効な手段です。多能工化の進め方としては、例えば下記のようなことが挙げられます。

□多能工化が必要な理由の明確化
□スキルのリストアップとランク設計(※1)
□スキルマップの作成と強点・弱点の把握
□教育・訓練必要スキルと訓練対象者および指導者の決定
□教育・訓練の計画の作成と実行
□業務・作業の簡素化・効率化(システム化含む)、および業務・作業標準(※2)の作成・整備

(※1)スキルランクとは
必要なスキルを横にらみした(並べてみた)場合の各々のスキルの難易度のことです。多くの企業では個々人のスキルレベルは把握できていますが、スキルランクを明確にできている企業は多くはなく、スキルアップ計画が立てれない要因の一つに、またスキル取得者の達成感・モチベーションUPに上手くつなげれていなかったりしています。
(※2)業務・作業標準とは
安定した品質の製品を低いコストで、且つ短いリードタイム(LT)で生産できるように基準を定めたもの。そのメリットは下記のようなものがあります。
①品質の維持・管理がやりやすい 
②新人の業務・作業習熟のスピードが早い 
③工数・コストを切り詰められる
④ムダな業務・作業を無くし、作業スピードが早くなる 
⑤危険作業をなくしたり、予防できる 
⑥事前に最適業務・作業環境設定ができる

多能工化を継続させるためのポイント

多能工化は、企業の業務改革や生産性向上に繋がる重要な取り組みですが、継続させるためには、下記のようなことなど、様々なことが求められます。

□やる気創出・モチベーション維持のためにキャリアパスを示す
多能工化を通して、従業員がどのようなキャリアを築けるのか、具体的なイメージを示すことが重要です。また、成長を実感できる機会を提供し、多能工化による貢献度を評価することで、従業員のやる気を引き出すことができます。

□組織全体の理解と協力
組織全体で多能工化の目的を共有し、その重要性を理解してもらうことが大切です。何故多能工化を進めるのか、その理由は何か、多能工化を進めた先に何があるのか、その部分を皆で理解し、組織全体で共有して進めて行くことが重要です。

□定期的なスキルの可視化と改善
従業員のスキルを可視化し、不足しているスキルを特定することで、より効果的な教育・育成計画を立てることができます。定期的にスキルの可視化を行い、多能工化の進捗状況を把握し、改善点を見つけることも重要です。

多能工化は継続的な取り組みが不可欠

多能工化は、技術伝承・技能伝承同様に、継続的な取り組みが不可欠です。上記のポイントを参考に、自社の状況に合わせて多能工化を推進してみてはいかがでしょうか。もし、「自社だけではなかなか上手くいかない」など、お悩みがありましたら、是非ジェムコ日本経営お問い合わせください。

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