属人化解消とモチベーション作りに効果!仕事の標準化【リーンマネジメントの深堀り知識:第2回】
寄稿:Gemba Smile
コラム「リーンマネジメントの深堀り知識」では全10回にわたり、リーンマネジメントの原則や手法に関するメリットをより詳しく深堀りし、実践的な知識を提供。全10回を通じて、リーンマネジメントのメリットをより具体的かつ実践的な視点から理解していただくことを目指します。
第2回目の今回は「仕事が楽になる」、そして「ノウハウ構築にも役立つ」標準化の方法を解説します。
「標準化」とは?
より少ない資源で最大効果を上げるリーンマネジメント。そこに欠かせないのが「標準化」です。「標準化」は仕事のムダを削ぎながら、顧客と従業員の満足度を上げていく強烈な手法です。
では、標準化とは何でしょうか?
誰にとってもやり易く、楽にできるような仕事のし方を見つけ、それを“標準”として皆で共有することです。この“標準”は“ルール”ではありません。最初は決められた通りにやってみなければなりませんが、やり難いところに気づいたら改善のチャンスと捉え、上長や皆の同意で変えて行くことができるのです。
仕事のミスが起きたとき、それが属人化した方法であればそのヒトが責められてしまいます。しかし標準化した方法であれば、誰も悪くない。悪いのは皆で決めた“標準”ということになります。
実践のカギとなるポイント
では、標準化の実践にはどのようなステップが効果的でしょうか?
それは、下記の4つのステップに分けられます。
1.属人化した経験知を文書化(=視える化)して共有(トレーニング)
2.標準通りにやってみたが時間がかかったり、ミスが起きる
3.標準と実際の差がある要因を見つけ、“なぜなぜ”で真因を探る
4.対策を創案し、改善目標を達成できたら、1の標準を更新
以上の1~4を繰り返すことを「標準化サイクル」と呼びます。
この時代に嬉しいプラス効果
標準化が進むと、品質・コスト・生産性が改善し、顧客満足度が上がります。
その他にも様々な効果があります。
●スタッフのモチベーション向上
仕事がやり易くなると安全リスクが減ります。加えて、自らが仕事に参画していくことで、マズローの欲求5段階説でいう社会的・承認欲求が満たされていきます。上述の4つのステップをやり切ったとき、最終段階の自己実現欲求の達成につながることは想像に難くありません。
●DX対応
標準化で仕事のムダがなくなり、作業が視える化されることによりDXの効果を測り易くなります。ムダが残った仕事をデジタル化したり、とりあえずデータ取りに走って活用に迷う事態は避けたいものです。
●独自のノウハウが資産として残る
ベテランが辞めてしまうリスクに戦々恐々としている会社も多いかと思います。経験知を皆でシェアし、さらに皆で磨いて会社のノウハウとして残してもらうために、標準化をできるだけ使いたいものです。
●ヒト独自の能力が伸びる
ヒトには、決断力・洞察力・問題解決力・創造力など、AIでは代替が難しい能力が備わっています。標準化を進めることで、こうしたヒトにしかない能力がぐんぐん育まれていきます。
標準化は製造業や物流業に限った手法ではありません。営業やマーケティングなどでも、日常作業であればどんな業種にでも応用ができます。ぜひトライしてみてください。