『新規事業から描き始める成長戦略』第7回:さらなる事業拡大に向けて
文責:ジェムコ日本経営 成長戦略コンサルティング事業部 事業部長 森岡 琢
この連載もいよいよ今回が最終回になりました。
最終回では新規事業をスケールさせるためのポイントについて解説します。
スケールとは規模のことであり、事業をスケールさせるとは、事業の規模を拡大させる、
という意味になります。文字通り、量的規模を拡大させるということに他なりません。
「いい話」が増え始めたということや、小さな成果をコツコツ積み重ねるということではなく、売上や顧客を大きく増やすことに焦点が当てられる段階です。
■ポイント1:事例をベースにしたチャネル開発
スケールさせる前段階における販売展開でフォーカスすべきは事例開発です。
売上・利益を優先させるのではなく、「こんな使い方あるよ、用途があるよ、解決策があるよ」といった具合に、事例をショーケース化していくことです。
新規事業のスケールにおいて販売チャネルは生命線です。たいていの場合、新規事業の組織体制・リソースは充分でく、機会損失も起こりやすくなっています。
豊富な事例を蓄積し、それを確かな実績として横展開するためにチャネルの開発・有効活用を進めましょう。
■ポイント2:他を圧倒する対応スピード
遅かれ早かれ、皆さんの会社が始めた新規事業について、競合をはじめとする多くの企業が反応し、同じように参入を検討する企業も出てくるでしょう。そんな時に常に心掛けたいのがスピードです。
開発・生産・製品投入・営業すべてにおいて他社を圧倒するスピードをもって市場や顧客を囲い込む必要があります。つまり、付け入るスキを与えないということです。
このことが実現できるように、新規事業をリリースした後は、それまでの新規事業を産み出すことを担当した組織をいったん解体して、業務プロセスや役割をしっかり定義して効率化された組織をもって事業運営にあたる必要があります。
■ポイント3:四半期毎の事業計画とストレッチ目標
新規事業であっても1年単位の事業計画に基づいて運営するケースがほとんどだと思います。
しかし新規事業とは元来不確実性が高いものであり、たとえKPIを定め、PDCAを回していたとしても、早い段階でズレが発生しがちです。
そこでお勧めしているのは四半期毎の事業計画です。四半期毎と言うと手間に感じるかもしれませんが、これまでの活動の中で、きちんとフレームワーク化、フォーマット化されているはずなので、それほど難しくないはずです。
四半期最終月の半ばあたりで、今四半期の振り返りをふまえて翌四半期の戦略と計画を1週間程度で作り上げるイメージです。
目標は現実的な目標ではなく、ストレッチさせることが必要です。ストレッチしなければそもそも事業はスケールしませんので。
またストレッチ目標は事業だけでなく、組織・個人を成長させる大きなエンジンにもなりますので、適切に活用すれば大きな力になります。
以上が新規事業をスケールさせるためのポイントになります。
細かいポイントはたくさんありますが、それは実際のコンサルティングの現場にて…。
長い期間にわたり『新規事業から描き始める成長戦略』というテーマで連載してきました。これまでの連載が、皆様の新規事業の成功の一助となれば幸いです。
ありがとうございました。