『新規事業から描き始める成長戦略』第1回:新規事業のフォーカス領域選定
文責:ジェムコ日本経営 成長戦略コンサルティング事業部 事業部長 森岡 琢
前回の本連載予告編では新規事業を構想し、立ち上げ、軌道に乗せ、成長(収益化)させていくという事業のライフサイクルを、以下の図を用いて俯瞰しました。
第1回では最初のステップである「新規事業のフォーカス領域選定」における基本的な考え方について解説します。
◆アイデアを構想するときどんなステップを踏む?
皆さんは新規事業のアイデアを構想する際、どのようなステップを踏むでしょうか?我々が見てきた多くのケースでは、世の中の動向や将来のニーズを広く想像し、そこから自社のリソースが活かせるようなことを自由に発想する、ということが多いようです。
一見すると間違っていなさそうなやり方ではありますが、検討領域をあまりに広く取ってしまうことで、思考が発散し過ぎ、まとまるものもまとまらないという状況に陥り易いケースをよく見ます。
◆「新規事業を構想する検討領域をフォーカス」する
こういったことを回避するために、最初のステップとしてジェムコでは「新規事業を構想する検討領域をフォーカス」ことをお勧めしています。新規事業なのに検討領域を限定してしまうの?と疑問に思われるかもしれませんが、あえて枠を設けることで、
四方八方に思考を飛び散らかすことなく、自由な発想を促すことも可能です。
その際に注意したいのは、自社の既存領域に近接する関連領域からフォーカス領域を定めよ、ということです。
逆に言うと、自社が全く知らない(素人である)まっさらな新規領域にいきなり走ってはいけないということです。
新規事業とは元来リスクが高いもので、「一発当てる」ことを狙うのではなく、「成功確率を上げる」マネジメントが必要です。
そのためにはある程度目や鼻が利く領域でなければ舵取りが困難になります。
(まっさらな新規領域でいきなり成功できる程、美味しいものは転がっていないということです)
上記の図は既存領域・関連領域・新規領域の関係をごくごく簡単に表したものですが、まずは関連領域の中からフォーカス領域を選定しようということです。
例えば家具メーカーであれば、住設機器や建材を関連領域と捉えることが出来ます。
そしてそのフォーカス領域の中でアイデア発想することがジェムコ流新規事業構想の第1ステップです。
次回(第2回)は新規事業のタマ出し(テーマ出し)についてのポイントを解説します。