人と組織の活性化│働き方改革の本質(4)
文責:ジェムコ日本経営 取締役 小倉明男
今回は「働き方改革」の本質の四回目として「思考の変化:人生は考え方次第」ということについて取り上げます。
◆病気を通じて学んだこと
今から16年前、医者から言われた言葉です。
「即入院ですが、治療方法がありませんので、後は体力勝負です。頑張ってください」と。
突然の発熱と血尿で、病院に行っての診断結果です。
この日から1週間、40度の発熱と血尿が続き、もうダメと弱気になり、過去を振り返っては「あれがいけなかったかな」とか、先を考えては「死ぬんじゃないか」とか、悪いことばかり考え、恐怖のどん底におりました。その時、実に不思議な体験をしたのです。
夢うつつのなかで、“神の啓示”ではないのですが、脳に直接テロップが流れるかのように、明らかに誰かが語りかけてきたのです。
要約すると「過去は変えることができないから悔やんでも仕方がない。未来は思い悩んでもどうなるかわからないだから、今なすべきことを熱心になせ 」。
後で調べると「ただ今日まさになすべきことを熱心になせ」というお釈迦様の言葉と重なったのです。
このことが起きてから気持ちも楽になり、病気も快方へと向かい始めました。
この言葉はキリスト教でもイスラム教でもみられ、宗教の基本の様です。こうして先人は、思考を変えることでよりイキイキと生きるすべを教えてくれているのです。
◆ストレスはからだに悪くない
スタンフォード大学教授で健康心理学者のケリー・マクゴニガルさんが最近発表した話がとても興味深いです。
「ストレスはからだに悪い」と言われていますが、最近の研究でそうではないことが証明されたのです。
アンケートとその後の追跡調査でわかったのは、強度のストレスを感じた人は43%死亡率が上がるのですが、これは「ストレスはからだに悪い」と思っている人たちだけで、
強度のストレスを感じていても「ストレスはからだに悪い」と考えていなかった人には死亡リスクの上昇は見られず、それどころかこの人たちは、参加者のなかで、もっとも死亡リスクが低かったそうです。
つまり、ストレスがほとんどない人より、強いストレスを感じながらもそれをポジティブに捉えていた人たちのほうが、死亡リスクが低かったということになります。
実際、医学的研究でも、「ストレスはからだに悪い」と考える人たちがストレスで心臓の血管が収縮するのに対し、この人たち(ストレスをポジティブに捉える人たち)は、強いストレス下でも収縮しないそうです。
また、別の研究論文では、「人生の満足度が高い幸せな人々は、ストレス度がすごく高い」という結果もあるとのことで、ストレスを上手く乗り越えたところに満足があるのも確かな様です。
◆脳の暴走と対策
要は、考え方次第で身体に与える影響が違ってくるということです。
悪い例で言うと、何かの病気になり、悪い方へ考えるとどんどん悪いことが起こるのではないか思ってしまいます。
つまり、脳が暴走してしまうのです。そして、そこから逃げようとすればするほど恐怖が襲ってきて、結局、病状が悪化したり、うつ病になったりしてしまうのです。
しかし、その意味付けをしてしまっている自分自身(脳の暴走)に気づく力さえあれば、出来事に心が支配されず、そのとらわれからも離れることができるのです。
そうした心の状態にするための四大ツールが“表情、態度、言葉、思考”です。この四つを意識的に明るく前向きにすることで、「脳は、今は平安が訪れ希望に満ちている」と勝手に思うのです。
◆明るく考えれば運命から愛される
わたしたちは、思考次第で生き方が変わってしまいます。
何か悪い出来事が起きても「大変だ」とおろおろするより、「自分の成長のチャンスだ」と思えるかが大切です。
仕事においても、「奴隷のようにやらされている」ではなく、そこに意味を見出し、主体的行動を起こした方がからだにも良いし、仕事も面白くなるはずです。
善きことを思い、善きことをすれば、良い結果が生まれる。
物事を暗く考える人間は暗い運命を引き寄せる。天を信じて明るく考えれば運命からも愛され、幸せな人生を築くことができるのです。
今回で「働き方改革」の本質の第四回目ですが、4回を通して読んでいただけると
「①夢を持った集団が ②主体的に ③仲間とスクラムを組みながら ④思考を変えて強い集団になります」ということになります。
次回は、本質の五回目「行動の変化」というテーマです。