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JEMCO通信

2013-10-09 コンサルタントの仕事とは? 呟き・報告会

日々挑むコンサル『五省』の呟き|第二回『啐啄同時(そったくどうじ)』が大事

文責:ジェムコ日本経営 コンサルティング事業部 五省太郎 

 

「啐啄同時」とは禅の言葉である。ひな鳥が殻を破ってまさに生まれ出ようとする時、卵の殻を内側からつつくことを「啐(そつ)」という。一方、ちょうどその時、親鳥が外側からつつき、ひな鳥の誕生を助ける行為を「啄(たく)」という。ひな鳥が卵の内側からつつく「啐」と親鳥が卵の外側からつつく「啄」が「同時」に行われて、卵の中からひな鳥が誕生するという絶妙の機会(タイミング)の重要性を意味する言葉である。学校や企業での人材育成においての教育機会・育成機会・成長機会の場面づくりやそのタイミングにおいて非常に重要な意味を持っていると感じている。

 

私にとって「啐啄同時」が役立つ場面の一つとして、初めてクライアント先に行き、これから活動するであろうプロジェクトメンバー達との初対面の場面が挙げられる。プロジェクトメンバーのコンサルタントに対する反応(リアクション)は、おおよそ次の5パターンに類型される。

 

●プロジェクトメンバーのリアクション・パターン類型

比較的多いタイプは、①~③である。そのため、新規案件の初期は、毎回アウェイ感一杯である。私の場合は、大企業の本社・経営企画部門に起用され、事業部や工場へ派遣されるため、そういうタイプに遭遇するのだろう。メンバー当事者にしてみてば、本社サイドが余計な事をしやがってという雰囲気の中でスタートするので、メンバーと「なじみ」、普通の会話が成立できるまでが一苦労である。

 メンバーのタイプ(類型)を把握し、溶け込むために私がまず最初にやっていることは「自己紹介」である。以下の項目について好きなだけ話して頂くようにしている。

-① これまでの職務キャリア -② 今の仕事内容 -③ 今回のプロジェクトに対する想い -④ コンサルタントに期待すること -⑤ 皆に分かってほしいこと -⑥ 禁煙or喫煙(休憩時間頻度の参考にする)-⑦ お酒を飲むor飲まない -⑧ 出身地 -⑨ 趣味・特技、その他なんでも

中には話しべたの方もいるし、照れもあるようだが、概して皆さん饒舌であり、何故か特に⑤の皆に分かって欲しいことあたりから盛り上がり、⑧の出身地や⑨の趣味特技に至っては、同じ会社にも拘わらずはじめて聞く話が多い。「お~そうだったんか!!」という雰囲気になり、一気に場が和む。長い方では、一人で40分以上お話される方もいていつも楽しみにしている。もっともコンサル的には、②~⑤を伺うと大体の本音が垣間見れ、先に挙げたリアクション・パターンの類型を掴むことができ、さらに誰がキーパーソンかも大体判明する。 ちなみに、その自己紹介で私の小学校の同級生ということが判明したメンバーもいたりした。当然ながら次の会合では卒業アルバムを一緒に見て盛り上がった。経験上、自己紹介を経て、プロジェクトの「目的」「目標」「スケジュール」、つまり「ゴールイメージ」を共有・納得すれば、プロジェクトの成功率は確実に50%を超える。さらに、メンバーの本音を理解し、それに応じたガイド・ファシリテーション、そして「啐啄同時コーチング」をすれば、100%プロジェクトは成功する。自分と違ういろんな人がいるのが当たり前。また、クライアント企業がコンサルに求めることも100社100様。メンバー個々のパーソナリティや立場に応じて正論を押し付けず、いくつかの着眼点や改善アイデア・施策メニューを提供し、メンバー個々が自主的に実行できる環境をつくるのが私のコンサルティング・スタイルである。クライアント先のメンバーは、自社のことはよく理解しているし、特に大手企業には私より優秀な方が大勢いるので、その大勢の優秀な方々をどう動かすか!ということを常に考えているのである。そのためには、「啐啄同時」と山本五十六の「やってみせ、いって聞かせて、させてみて、褒めてやらねば人は動かじ」をコンサルタントは忘れてはならない。

 

次回は、『なりたい自分になるための心構え「守破離」』について述べたいと思う。

第二話 了

*五省とは・・・

一、至誠(しせい)に悖(もと)る勿(な)かりしか(真心に反する点はなかったか)

一、言行に恥ずる勿かりしか(言行不一致な点はなかったか)

一、気力に缺(か)くる勿かりしか(精神力は十分であったか)

一、努力に憾(うら)み勿かりしか(十分に努力したか)

一、不精に亘(わた)る勿かりしか(最後まで十分に取組んだか)

昭和7年 海軍兵学校校長の松下元(まつしたはじめ)少将の発案。毎日の自習終了5分前に瞑想し、その日の自分の行動を省み、深く自己を見つめ、自省自戒したといわれている。つまり、他部門や他人のせい(他責)にしてはならないということ。コンサルタントの基本心得であり、「立派な人間」としての基本的な資質でもある。

【注記】守秘義務の関係もあるため、このコラム内容は、かなり一般的な話題に置き換え架空のものに編集しております。起こっている事象はよくある内容でありますが、内容の詳細については、ノンフィクションの読み物であります。予め、ご了承下さい 

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