「技術技能伝承」待ったなし!各社、悩み苦しんでいるのです
文責:ジェムコ日本経営 取締役 小倉明男
◆技術伝承待ったなし!各社、苦しい悩み
会社にはノウハウもデータベースもあり、それらを保管する仕組みがあっても、記載されている内容は専門用語が使われたり、個人表現で難解だったり、使える形になっていないため、結果としてノウハウの共有化や統一化が図れていないという事例は多い。事実、プロセスや手順書もなければ若手はいちいち先輩のところに聞きにいかないと分からない。
まして、英訳できていなければ海外展開ができない。阿吽の呼吸でしている仕事をいかに誰もがわかる形にするか、ベテランの頭の中を、誰もが理解でき実行できるようにするか、これらは標準化のベースであり、効率化を図る上でも最も基本となることである。
ものすごい勢いで伸びている海外市場に対応するには、いつまでも国内の技術者が個人ノウハウで対応するということは不可能であり、いかに早く海外の技術者を即戦力化するかは必須課題なのだ。日本が生き残るためには、国内の技術者のリソースは先行開発・研究開発に振り向けたいと思っている企業は多い。
そのためにも、技術伝承を行なう仕組みをいかに作るかが、全ての企業共通の苦しい悩みと言える。
カルソニックカンセイは、この悩みを解決するダイナミックなプロジェクトに成功した。
◆聞く技術が鍵
ベテランが持つノウハウを標準化するための一番のポイントは実は聞く技術にある。
すなわち、設計や生産技術の現場の猛者ともいわれる熟練技術者の頭の中や図面の片隅のメモに存在する「秘伝の技術」を聞きだす専門家を育てることにある。
ベテランのエンジニアからすれば、そんなことは余計なお世話と思われているし、敬語など使って接触してもノウハウは出てこない。
ベテランエンジニアに共感してもらってうまく聞きだし、難解な表現を英訳できる整った日本語にすることが求められる。
こうすることで、若手でも「この製品を開発せよ」と指示したら、スタートから立ち上げまでの製品開発プロセスの中で都度何をしたらいいのか、
どんな帳票が必要かアウトプットは何か、誰が見ても一目瞭然の手順書をつくることができる。
◆ジェムコのバリュー
ジェムコは、Knowledge Engineering Solution (KES) という技術・技能伝承のナレッジマネジメント方法論と仕組みを持っている。
これを活用した技術伝承プロジェクトにおけるジェムコのバリューは、三つ。
一つ目は、全体のプロジェクト運営。
二つ目は、ベテラン技術者の頭の中にある暗黙知をVEの機能定義の考え方をベースにヒアリングする手法。
三つ目は手順書の構成と雛形である。
(どの部門やどの会議にどんなアウトプットが必要かを考慮した手順書の構造と、技術を抜け漏れなくアウトプットできるフォーマットという秘伝のドキュメントが存在する)
◆期待効果
カルソニックカンセイの事例では、開発の初期から量産立ち上げまでを包括的に網羅したEngineering Work Manual(EWM)がわずか1年というスピードで完成した。全体のワークフローから各開発担当者がやるべき事柄と手順までが4つの階層でつながっているので仕事の各フェーズで誰がどういう順番で何をすべきかが明確にまとまったものだ。ここまでできれば、世界同時立ち上げや垂直立ち上げがスムーズに行える。
ひいては、日本にある大半の開発リソースを数年でグローバルにシフトすることが容易になる。
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http://techon.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20130418/277692/