生産の基本論~ものづくりの達人になるためにおさえるべきツボ~【第11回 目の動き】
文責:ジェムコ日本経営 コンサルタント 原 正俊
皆さんは、「IE」という言葉をご存じでしょうか?IEは、Industrial Engineering の略称で「生産工学」などと呼ばれ、「生産性向上」と「原価低減」を行うものです。これからこの「IE」の考え方に関する情報をコラムでお届けしてまいります。
11回目の今回は「目の動き」についてです。
目の動きは作業をする上で大きな影響を与える
普段の作業で、目の動きに気を配ることはほとんどないと思います。ごく自然に人の目はいろいろな動きをしています。それを意識する人はいません。
ところがこの目の動きは、作業をする上で実に大きな影響を与えます。視力の問題や、照明の過不足で見にくいとか見やすいというのは、比較的意識しやすい問題です。しかし、目があちらこちらに動くことの問題は気が付きにくいのです。
できるだけ視線を動かさないような作業方法やモノの配置を設計
視線をあちこちに動かすと、焦点を合わせるために目が働くので、わずかの時間がかかります。眼球も疲労します。
ロスや間違いを防ぐためには、できるだけ視線を動かさないような作業方法やモノの配置を設計しなければなりません。
「凝視」も疲労を招きミスの原因にも
また、何かをじっとみる「凝視」もできるだけ避けなければなりません。注意深く一点を見続けるのはやはり疲労を招き、ミスを犯す原因となります。
メモリや表示を読み取るために凝視することを防ぐには、見やすくすることが有効です。文字や数字を大きくしたり、絵をいれたり色を使うと凝視しなくてもそれが何か、どういう常態かがわかりやすくなるので目も疲れません。
検査などじっと見ることが要求される作業は、定期的に休憩を入れましょう。長時間の凝視は、ものすごく疲労するものです。検査でのミスは、品質問題になりますから、注意が必要です。
人の目を機械に置き換えることも有効
「視覚」から「検知」に替えることで人の負担を減らすことができます。センサーやカメラなどの活用が生産現場で進んでいます。原因追求や事象観察などの人の目で見ることが必要な場合を除いて、人の目を機械に置き換えることは非常に有効です。