生産の基本論~ものづくりの達人になるためにおさえるべきツボ~【第13回 棚の空間の使い方】
文責:ジェムコ日本経営 コンサルタント 原 正俊
皆さんは、「IE」という言葉をご存じでしょうか?IEは、Industrial Engineering の略称で「生産工学」などと呼ばれ、「生産性向上」と「原価低減」を行うものです。この「IE」の考え方に関する情報をコラムでお届けしてまいります。
13回目の今回は、「棚の空間の使い方」についてです。
もったいないと感じる「空間の3つの使い方」
倉庫や作業現場の棚を拝見していると、下記の3つのような「もったいない」と感じる空間の使い方をしていることがよくあります。
●1つ目・・・使っていないモノを置いている
使わないものは5Sで徹底的に排除して使うものだけを置くようにします。これだけでもスペースにゆとりができてきます。
●2つ目・・・空間の効率・積載の効率が良くない
例えば、棚の各段に少しずつモノを置いているだけでほとんどの空間が遊んでいるというような状態です。
●3つ目・・・モノを出すのに他のモノを動かさなくてはならない
これは置き方が悪かったり、とにかくモノを詰め込んでいて起こるケースが多いです。これでは、どこにあるか探さなくてはならないですし、取り出すためにモノを動かす必要がでてくるわけです。
これらの解決の1つの方法は、「判断が必要ないように作業改善すること」です。
「容器を活用するなら徹底的に」・・・ある事例
また、棚にプラスチックの容器を並べ、空間を活用しようとすることをよく見かけます。しかしその容器をよく見てみると、中が空っぽになっていたり、スカスカになっているということはないでしょうか?
以前、ある製造工場でスペース活用改善の支援をしました。
部品置き場を見ると、容器に入れたり、裸のままだったりと統一性がなく、ムダに空間を使っていて、置き方にも決まりが無いようでした。また、容器がおかれているものの、空っぽというものも多くありました。
そこで、「容器を活用するなら徹底的に活用」することにし、ほとんどの部品を容器に収納しました。
保管量の少ないものは、2つ3つを一つの容器にいれることで空間効率を高めました。容器に入れる収納数を決めて、むりやり入れないルールを作りました。あとは、棚番号と品名表示を徹底しました。
この作業完了後は、スペースが3分の2ですみ、モノを探すこともなくなりました。部品の保管場所の空間利用について、全く注意を払っていなかった工場が、モノの置き方と置く場所の改善を行った結果大きな成果が生み出せた事例です。