生産の基本論~ものづくりの達人になるためにおさえるべきツボ~【第17回 価値を高めていないモノ】
文責:ジェムコ日本経営 コンサルタント 原 正俊
皆さんは、「IE」という言葉をご存じでしょうか?IEは、Industrial Engineering の略称で「生産工学」などと呼ばれ、「生産性向上」と「原価低減」を行うものです。コラムでは「IE」の考え方に関する情報をお届けしてまいります。
17回目の今回は、「価値を高めていないモノ」についてです。
目次
工場・職場・倉庫の中の「製品の価値を高めていないモノ」
価値を高めていない行為と同様に、価値を高めていないモノも多すぎると問題です。
工場・職場・倉庫の中に、製品の価値を高めていないモノがありませんか。ここでは、下記の5つをあげさせていただきます。心当たりがあるものがあれば、見直してみるといいかもしれません。
価値を高めていないモノ① 遊休設備
今現在は使用していない設備はありませんか?倉庫の中にしまってあるのであればともかく、現場にあるとすれば、スペースをムダにしているということになります。
将来使う予定があるのであれば、保管をしっかりと行ってください。ほこりや錆などで、いざ使用しようとした時に整備しなければならないというのは時間のムダです。注意しておいてください。
価値を高めていないモノ② 故障設備
故障して動いていない設備は価値を高めていません。これから修理して使用するのであれば一時的なことです。しかし、いつ修理するのか未定ならば、「ムダを放置している」ということになります。
価値を高めていないモノ③ 大きすぎる備品
机や作業台、棚などは必ずと言っていいほどあると思います。ただ、当たり前のように使っていて、その大きさまで気を回していないのではないでしょうか?
特に大きな作業台は、本当に作業に必要な面積以外は空間ロスです。空いたスペースが、モノの置場所、停滞場所になっていませんか?「置けるところがあるからつい置いてしまう」・・・その原因の一つが台や机が大きすぎるということも十分考えられます。
価値を高めていないモノ④ 収納容器
扉がついていて中が見えないキャビネットや整理棚、ロッカー、物置はムダの温床になりやすいところです。中が見えないから、いろいろ不必要なモノがあっても気が付かず、気にならないわけです。
片付けというと、「いらないものを収納容器にしまうこと」と思っていませんか?だから、「職場にキャビネットがやたら多くなる」・・・そんなことにはなっていませんでしょうか。
価値を高めていないモノ⑤ 私物
個人的な持ち物は価値を高めていません。事務所の机の引き出しに私物が入っていることはありませんか?これは、実によく見かける事例です。
引き出しに私物が入っていると、そこにモノが保管できません。それであふれた資料などが書棚にもあふれるなど、二重三重のロスを引き起こしている可能性があります。ロッカーなどの決められたところに置くようにしてください。