生産の基本論~ものづくりの達人になるためにおさえるべきツボ~【第19回 故障設備のムダ】
文責:ジェムコ日本経営 コンサルタント 原 正俊
皆さんは、「IE」という言葉をご存じでしょうか?IEは、Industrial Engineering の略称で「生産工学」などと呼ばれ、「生産性向上」と「原価低減」を行うものです。これからこの「IE」の考え方に関する情報をコラムでお届けしてまいります。
19回目の今回は、「遊休設備のムダ」についてです。17回目のコラムで、「価値を高めていないモノ」について話をしました。今回はその中でも「故障設備のムダ」について、事例をもとに見ていきます。
ある海外の工場での事例
ある海外の工場へ行ったときのことです。
新しく大きいきれいな設備が工場の隅に置いてありました。ところが動いていないのです。理由は「故障しているから」。
10日くらい前から故障していたようで、「何故修理しないのか」と尋ねてみたところ、「自分たちで修理できないから、メーカーのサービスマンを待っている。しかし日本と違ってサービスマンはすぐ来ない。それが当り前」と。そして「いつ来てくれるかもわからない。生産は汎用の設備があるから何とかなる」と、悠長なことを言っていました。
4つの問題点
ここでの問題は、主に下記の4つです。
①自分たちで修理できない設備を高い費用をかけていれる必要が本当にあったのか
②汎用機で代用できるなら必要性が低いはず
③メンテナンスを自分たちでできないなら今後も同じようなことが発生する可能性がある
④メーカー対応が良くないのは予測できたはず
事態を予測できなかったのか?
設備導入を検討しているときに、このような事態を予測できなかったのでしょうか。
設備は故障するものです。メンテナンスの仕方とか修理の体制、補修部品の準備など、設備が故障してもすぐ立ち直るための方策を検討すべきだったのです。
海外では、特にそのことが問題になります。メーカーがすぐに来ないことは当たり前で、そのことへの対策が不十分であるというような事態は十分考えられます。