生産の基本論~ものづくりの達人になるためにおさえるべきツボ~【第2回 作業の手順②】
文責:ジェムコ日本経営 コンサルタント 原 正俊
IEとは、Industrial Engineering の略称で「生産工学」などと呼ばれ、「生産性向上」と「原価低減」を行うものです。これからこの「IE」の考え方に関する情報をコラムでお届けしてまいります。
前回に続き、2回目の今回も「作業の手順」についてお話をします。今回はその中でも特に「作業のオーバーラップ」についてです。
作業の手順で考慮しなければならない「作業のオーバーラップ」
作業の手順で考慮しなければならないのが、作業のオーバーラップです。作業をできるだけ自動化・機械化して手を離せるようにします。その間に別の作業ができれば効率があがります。
機械工場などで、マシニングなどワークをセットすれば、1サイクルの作業を機械が自動で加工するのは、今や当たり前に目にする光景です。そのおかげで多台持ができるようになり、作業効率は飛躍的に向上しました。単能機に1人の作業者が張り付いている姿は、最近ほとんど目にしません。
まずは「手放すこと」を考える
機械作業だけではありません。単純な作業でも手を離すことを考えられれば、その間に他の作業ができます。
ある工場で、水槽に水を溜める作業がありました。ホースで単純に水道水をタンクに溜めるのですがそれに10分かかります。作業者はホースを持ってじっと水が一杯になるまで待っています。それが当たり前であり、昔から続けてきた作業です。これがもったいないという感覚がないのです。
改善で時間が生まれほかの作業が可能に
そこで、ホースを固定する治具を作り、簡単なセンサーで満杯になったら作業者に知らせるように改善しました。これだけで10分間この人は他の作業ができます。
これは機械工場では当たり前の方法が、別の業種の工場では行われていなかった例で、似たようなことは他にもいろいろ見かけます。
そのようなとき私は、他の工場や業種で行われている工夫やヒントをアドバイスします。そうするとそのような発想やアイデアがあるのかと気づかされることが多いのです。
異業種の考え方がアイデアや改善のヒントになることも
これは自分達の普段の考え方やものの見方が特定の分野に偏ってしまっているから起きることです。他の業種の工場を見学されることを私はいつも支援先に勧めています。異業種は意外と参考になるアイデアや改善のヒントが得られるものです。
「ヒントやアドバイスが欲しい」など、ご質問がある方は、ジェムコにお問い合わせいただければ詳しくご紹介をさせていただきます。気軽にお問い合わせください。
次回も作業の手順についてご紹介をさせていただきます。