生産の基本論~ものづくりの達人になるためにおさえるべきツボ~【第3回 作業の手順③】
文責:ジェムコ日本経営 コンサルタント 原 正俊
IEとは、Industrial Engineering の略称で「生産工学」などと呼ばれ、「生産性向上」と「原価低減」を行うものです。これからこの「IE」の考え方に関する情報をコラムでお届けしてまいります。
3回目の今回は、「作業の手順」についての中でも「外段取り」についてお話をします。
作業の手順を工夫して効率を高めるヒント「外段取り」
作業の手順を工夫して効率を高めるヒントは、オーバーラップ作業の他に「外段取り」というものがあります。
この言葉の本来の意味は、段取り替え作業を行うときに、作業が終了して設備が停止してから行う準備や段取り替え作業の一部をまだ設備が停止する前に、つまり、前の作業が終了する前に行うことです。材料や治具の準備は何も設備が止まってからでないとできないことはありません。あらかじめ段取りのために設備が停止する前に行うことができる作業です。
この考え方を発展させて、あらかじめ作業をオーバーラップさせて準備を進めて置くこと、あるいは前の日に準備しておいて翌日すぐに作業に取り掛かれるようにする前準備なども同義語として使われています。
ある工場での事例
ある工場で、設備の段取り替えのテーマで効率化を検討したことがあります。ここでの問題は段取り作業が重なった場合、どちらかの設備を優先させなければならず、もう1台が段取り待ちとして停止しているというものです。当然設備の稼働率は落ちます。さらに作業者の心理として1つの作業単位(よくバッチと表現します)をその日のうちに終わらせてしまいたいという気持ちが働きます。そうすると段取り替えが翌日の朝に集中してしまいます。
行った2つのポイント「段取替えの重なりを防ぐ」「作業計画の精度を向上」
ます、作業の計画を工夫してできるだけ段取替えが重ならないようにしました。また、朝一番の集中を防ぐために当日の終わりに前準備として段取り替えを行ってしまうように、段取り作業者の勤務シフトを変更しました。それでもまだ朝に重なる段取り作業を早出勤務などでカバーしてかなり重なりを防ぐことができました。
さらに、作業計画の精度を向上させて、段取りの発生時間をあらかじめ予測できるようにしました。これにより計画的な段取り予定が組めるので、以前のようないつ段取替えが必要になるかわからないという状況から脱することができました。
あらかじめ作業の準備しておくととても効率が上がります。これを徹底することで設備の停止時間も短縮され生産性を高めることができます。
「ヒントやアドバイスが欲しい」など、ご質問がある方は、ジェムコにお問い合わせいただければ詳しくご紹介をさせていただきます。気軽にお問い合わせください。
次回も作業の手順についてご紹介をさせていただきます。