生産の基本論~ものづくりの達人になるためにおさえるべきツボ~【第4回 作業の手順④】
文責:ジェムコ日本経営 コンサルタント 原 正俊
IEとは、Industrial Engineering の略称で「生産工学」などと呼ばれ、「生産性向上」と「原価低減」を行うものです。これからこの「IE」の考え方に関する情報をコラムでお届けしてまいります。
4回目の今回は、「作業の手順」についての中でも特に「作業の集中化」に関するお話をします。
作業の集中化でロスを減らす
もう一つ作業の手順で考慮すべきことは、一箇所でできるだけ多くのことをするということです。これを「作業の集中化」と呼びます。様々な作業をする上で、“あっちに行ったりこっちに行ったり”ということを繰り返していては、ロスが大きくなってしまいます。
手順を整頓・改善することで余計な動きを減らせる
段取り替え作業の様子を観察していると、このことがよくわかります。
慣れたベテランは「作業の集中化」が自然と出来ています。
不慣れな段取り者が作業をすると、途中で工具を取りに行ったり、外した治具を置きに行ったりして、空白の時間を生じさせます。設備の手前で作業しているかと思うと裏に回ったり、戻ってしばらくするとまた裏に行くというように実に動きが多いことがわかります。一箇所で作業できるように手順を整頓したり、改善したりすることで余計な動きを削減できると思われることがよくあります。
歩かない工夫で効率向上を図ることが可能に
これは何も、段取替え作業だけに限りません。通常の作業においてもあちこちに移動する姿が良く見かけられます。工場内の全体を観察すると、実に多くの人が歩いている姿を見かけます。モノを運んでいるならまだしも、手ぶらで歩いていると実にもったいないと感じてしまいます。
歩くには理由があるのでしょう。問題はその頻度が多すぎることです。歩かない工夫で効率向上を図ることができるはずです。
移動を最小にする工夫を
ここで注意していただきたいのは、ずっと1日中同じ位置で作業しろということではないということです。人間は一箇所にずっと立っていると非常に疲れます。作業にリズムをつける上で、1歩ないし2歩の移動を繰り返し作業の中にいれるのはむしろ身体の疲労を考えるといいことです。
ここで問題にしているのは作業場所を完全に離れてしまうような移動のことです。それを最小にする工夫が必要なのです。
今回ご紹介したことなどでご質問がある方は、ジェムコにお問い合わせいただければ詳しくご紹介をさせていただきます。気軽にお問い合わせください。
次回も作業の手順についてご紹介をさせていただきます。