生産の基本論~ものづくりの達人になるためにおさえるべきツボ~【第7回 作業の中断】
文責:ジェムコ日本経営 コンサルタント 原 正俊
皆さんは、「IE」という言葉をご存じでしょうか?IEは、Industrial Engineering の略称で「生産工学」などと呼ばれ、「生産性向上」と「原価低減」を行うものです。これからこの「IE」の考え方に関する情報をコラムでお届けしてまいります。
7回目の今回は、作業の効率を妨げる「作業の中断」についてです。
作業の効率を妨げる最大の要因「作業の中断」
作業の効率を妨げる最大の要因は「作業の中断」です。作業の様子を観察していると、実に多くの要因で作業者が持ち場を離れます。例えば下記のようなことです。
・材料や部品を取りに行く
・他の作業者に呼ばれてそこまで行く
・工具や図面、指示書などを取りに行く
・電話の呼び出しがかかる
このようなことがおこるたびに作業を中断しなければなりません。作業の中断はそれだけで効率の低下に直接つながります。
中断することで「リズム」と「集中力」が途切れる
それだけではありません。中断することで「リズム」と「集中力」が途切れます。作業を再開してもペースに乗るまで時間がかかります。どこまで作業をしたのか思い出したり、確認しなければならないからです。
工場によっては「作業中につき話しかけ禁止」という札を作業場所に掲げて外部から邪魔することを極力排除しているところもあります。
材料や部品の供給は作業者がせず「供給者」がするところも
材料や部品の供給は一切作業者がせずに、いわゆる「みずすまし」の役割の担当者が運搬や供給を行うところも少なくありません。
作業者は部品が少なくなってきて補給して欲しいとき、合図をだしたりアンドンを点灯したりして供給者に伝えます。
空になった部品の容器はやはり供給者が回収します。
確認が必要な時も移動は避けるべき
作業中に班長やリーダーに確認が必要になった場合にも、自分で移動することは避けるべきです。
監督者に来てもらい、相談や確認をします。品質の問題では品質担当者が作業場所にきて、問題事象を確認したり対策を検討します。品質保証室といった離れた場所では問題は解決しません。現場で解決するのです。
徹底した中断の要素の排除により集中して作業ができる環境を作るようにしてください。