梶川建設は明治38年に創業。100年企業に成長した同社ですが、苦難の時代も。2013年には2年連続で赤字となり、人員整理を検討するというところまで追い込まれる事態になったのです。しかし、そんな危機的ともいえる状況だった同社が「パイラー」という新しい”武器”を手にし、約6年で売上2倍となり、注目の企業へと成長を遂げました。
その飛躍の秘密は何なのか?株式会社梶川建設 代表取締役の梶川光宏氏にお話をお聞きしました。
「当時50名規模の会社でしたが、長年の風習で行っている業務が多々ありました。例えば毎月の売り上げ管理。数字の管理の仕方が不明確で、決算の時に数字を締めてみないと目標達成しているか判断できないことも。また、部門間の連携が希薄で、マネージャー(部長)のマネジメントがうまくいっていない部分もありました」と梶川氏。
そのような状況の中で襲ってきた経営不振。新規事業として設備投資した機材の活用がうまくいかない_。状況を打破するため模索をしている中で出会ったのがジェムコ日本経営(以下、ジェムコ)です。
「これから成長していくために、私たちには”足りないもの”がある。そのツールをひとつひとつそろえていくために、ジェムコさんに顧問型コンサルティングをお願いすることにしました」(梶川氏)
コンサルティング開始から1年程度は、梶川社長とジェムコのコンサルタントの1対1の面談を実施。そのなかで社内の“見える化”を実施、KPIを設定することにしました。梶川氏は「会社の売り上げ目標を達成するためには、売上管理が必要ですが、“何を把握する必要があるのか”ということが不明確になっていました。そこを明確にし、売り上げ管理の方法を変更しました。現在は厳密に毎月の売り上げ管理を行うことで先を読むことができ、投資などの経営判断がしやすくなっています」といいます。
その後、面談はマネージャーも行うように。その中で梶川氏が「会社として大きく変わった」という取り組みが、「マネージャー研修」と「中期経営計画の策定・経営戦略発表会の実施」です。
マネージャーがマネージャーとして、何をすべきか。トップダウンで与えられた目標を実行していくだけでいいのか―。
「弊社の今後の成長を考えたとき、マネージャー教育も必要不可欠なものでした。そこで、マネージャー研修を実施することに。ジェムコさんにも入ってもらい、限られた研修の時間内で、様々なテーマについて検討しています。それまで希薄になりがちだった事業部門間の連携も研修を機に密に。会社のために目標に向かってどうすべきか考え、実行することができ、売り上げに貢献する取り組みも出てきています」と梶川氏。
同社を担当するコンサルタントの山崎も「かなり実務にシフトした研修で、『KPI達成のためには何をしないといけないか』、毎月のマネージャー研修でしっかり考えてもらっています。当初、研修は『もしドラ(もし高校野球の女子マネージャーが「ドラッカーのマネジメント」を読んだら) 』を読むところからスタートしたのですが、今ではマネジメントを面白いと感じ、会社を引っ張っていくという気持ちを持ってくれていることを強く感じます」といいます。
中期経営計画を策定するとともに、毎年決算に合わせて社員全員参加の経営戦略発表会を開始しました。
「一年を振り返り、今の梶川建設の状況や課題、今後の方針やKPIなど、それらの方針をマネージャー研修で固め、経営戦略発表会で社内全体に伝えています。従業員も『自分も経営に参加している』という意識が高まっています。また、さまざまな現場で評価された取り組みは、経営戦略発表会で表彰を実施。ジェムコさんから『信賞必罰を明確にすることは会社の文化を作ることにもつながる』というアドバイスをいただいたのがきっかけですが、次の仕事や個人の成長にもつながっています」(梶川氏)
今後は、今注目のパイラー部門を企業の中核にする構想もあるのだとか。
梶川氏は「新規事業として設備投資をした後、一度は苦労し、どう活用し生産性を上げていくかが課題でした。山崎コンサルには親身にアドバイスをいただき、今やパイラーは主力商品。扱う仕事もどんどん高度になっています。日本の名だたる場所でお仕事をさせていただき、従業員も使命感を感じ、やりがいを持ってくれています」と、成長を実感しています
ジェムコ・山崎も「同業社から見ても目障りな建設会社になったと思います。特殊工事では全国で展開している勢いのある元気な会社だな、と。成長が見込めるところに先手を打って投資できていることは大きいですし、それができる企業体質になったのだと思います」と、7年での変化を感じているようです。
「毎月、改善やチャレンジを続けてきたから今があると思っています。しかし、その意識を常に持ち続けていくのは大変なこと。自社だけでは難しいし、見落としもある。外部からの監査というか、セカンドオピニオン的に導いてくれるコンサルティングをお願いしたことが良かったと思っています。ジェムコさんからのアドバイスは本当に参考になるし、感謝しています。また、これから世界展開を考えていくうえでも、グローバルなものの見方や発想も与えてもらっている。そこは私たちだけでは難しいことなので、これからもアドバイスに期待しています」(梶川氏)。
マネージャーは、現場で活躍した人材を任命するため、業務内容の専門性は高いがマネージメントスキルを持ちえないことが多い。マネージャーとしての役割や動き方、部門の管理の仕方が分からず、数字目標を社員に伝えるだけで、社員は自分の仕事の中でどう動けば、自部門の目標に貢献し、会社がハッピーになって、給与/賞与が上げられるか、掴めていないことが多い。マネージャーの位置づけがとても大切となる。
マネージャーの役割を理解するために、教科書として「もしドラ」(もし高校野球の女子マネージャーが「ドラッカーのマネジメント」を読んだら https://www.diamond.co.jp/book/9784478012031.html)を指定して、マネジメントを理解いただいて、実践指導させていただいた。これは、読み物としても面白く、NHKでアニメ化もされたもので、高校野球部の女子マネージャーとなった主人公ミナミが何をすればいいのかを書店で見つけたドラッカーの名著「マネジメント」と出会い、野球部で一つずつ実践していくというストーリーで、まさに、マネジメントの基本をわかりやすく解説する事例として最適なのです。
マネージャーが、自部門の「事業とは何か」「顧客は誰か」「マーケティングは何をすべきか」「ビジョン・目標は」「どんなイノベーションを起こすか」「実現するために何をすべきか」を徹底して議論して設定し、KPIによりで毎月PDCAを実践するというもの。
この基本動作を徹底することがとても重要なのです。
人の成長は、このように「挑戦する機会」と「実現する能力」の適度な幅の中で成長していきます。人によって、その幅と傾斜の角度は異なります。マネージャーは、この挑戦する機会を適度に引き上げられるかが、とても重要となります。特に中小企業では、配置転換の機会もなく、ポストも限りがあるため、社員のモチベーションを上げる/成長を実感するためにも、挑戦する機会を適度に引き上げていくことが重要となります。
本社)〒447-0033 愛知県愛知県碧南市天神町2-8
創業)明治38年4月
資本金)2000万円
代表者)代表取締役 梶川光宏